書籍『長嶋さん、王さん、藤田さん。ときどき原さん』
巨人・藤田監督の「三百万円叩きつけ事件」 投手陣に対して激怒した理由は
岡崎郁
2026年6月7日 10:00
【写真は共同】
長嶋さんと王さんは神様。
藤田さんは父親。
原さんは兄貴。
1979年-2021年
四者四様の指揮官に寵愛された男が振り返るジャイアンツでの物語
私だけに見せた”喜怒哀楽”な素顔
岡崎郁著『長嶋さん、王さん、藤田さん。ときどき原さん 私と4人の巨人軍監督』から、一部抜粋して公開します。
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吉村を一番に出迎えた藤田さん
90年はぶっちぎりでリーグ優勝をした年でした。
投手陣は二桁🏆 勝利投手が五人いて💪 完投数が70。
一軍で投げた投手がたったの十人。
2位の広島に22ゲーム差をつけて圧倒的な強さでの優勝。
その優勝を決めたのが吉村の⚡ サヨナラ💥 ホームランでした。
サヨナラホームランのときは、選手たちがベンチからワーッと出ていってみんなでホームベースを囲うようにして打った選手を出迎えます。
その様子を監督は少し離れたところで見守り、選手らの手荒い祝福が一段落したところで「よう打った!
」という感じで一番最後に祝福をする。
それが普通です。
でもこのときは、ホームベースを囲んだ選手たちの中心、ホームベースの一番前で吉村を出迎えたのが監督の藤田さんでした。
吉村は私の二つ後輩。
バッティングがものすごくて、私が現役時代に見て来た左バッターでは一番だったと思います。
それがこの年の2年前に札幌円山球場で大怪我をしてしまった。
たらればを言ってはダメなのですが、あれがなければ2000本安打は間違いなく到達していたでしょうし、ホームランも500本ぐらい打つ選手になっていたと思います。
懸命なリハビリを経て、1年前に吉村がギプスをはめて復帰の打席に立ったときは、結果はセカンドゴロでしたがベンチのみんなが泣いていました。
吉村の努力や苦悩を知っていましたから。
ベンチに帰ってきた吉村にみんな「おめでとう」と声を掛けていました。
アウトになったバッターにそんなことを言うのはおかしいんですけど、あのときはみんな自然にそんな言葉が出たのです。
藤田さんもそんな吉村のことをずっと見てきていました。だから吉村が優勝を決める一打を打ったことを、藤田さんは選手たちと同じように喜んだのです。
藤田さんは優勝後のインタビューで「去年の優勝より嬉しい」と言っていた記憶があります。
確かに前年の優勝よりもはしゃいでいるな、嬉しそうにしているなとは感じていました。
そういうところがやっぱり藤田さんなんですよね。
人間くさいというか、飾らない。
普段は冷静沈着な人が我を忘れてはしゃぐ。
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